CMSは、大別すると静的CMSと動的CMSに分けることができます。いずれもメリットとデメリットがあり、導入する目的や構成するサイトの規模などによってどちらを選ぶか考える必要があります。ここでは、動的CMSと静的CMSの違いについてご紹介していきます。
まずは静的CMSからその内容をご紹介します。
静的CMSとは、閲覧者がアクセスするHTMLページを事前に準備しておくタイプのCMSのことを指します。既にCMS上で完成していて、保存されているページを公開しているので、アクセスから表示までの時間が短いことが特徴となっています。
既に生成されているHTMLに対してアクセスするので、従来の一般的なウェブサイトと同じ仕組みと言ってもよいでしょう。
静的CMSは、既に完成されているものを表示するだけのシンプルな仕組み。アクセスのたびに何かを生成したりコードを書き換えたりするような仕組みがないので、不正な動作を引き起こすようなポイントが少なく、動的CMSよりも堅牢だということができるでしょう。
表示するHTMLページは既に生成されていて、それを表示するだけなので、閲覧者のブラウザに表示されるまでの時間が短いというメリットがあります。
CMSを構成するサーバとウェブサーバが別になっているので、CMSサーバがダウンしてもサイトの閲覧への影響が小さいという点も見逃せません。サーバトラブル時に対応がしやすく、セキュリティの堅牢さと合わせて管理者にとっては比較的扱いやすいものだと言えるでしょう。
HTMLでページを構築するので、HTMLが書ける人材がいないとCMSを導入するのが難しい場合があります。HTML自体はそれほど難しいものではありませんが、全くの初心者には抵抗があるかもしれません。
HTMLを先に生成して置いておくという性格上、ページのリアルタイムでの更新や拡張にはタイムラグが発生することがデメリットと言えます。サイトの更新が多かったり、リアルタイムコンテンツがある場合には不便な点もあるかもしれません。
既に生成されているページを見せる静的CMSに対して、動的CMSは閲覧者がアクセスするたびにHTMLを生成し、それを見せるという仕組み。
静的CMSは表示されるページが変化することはなく、決まったものが表示されます。対して、動的CMSはアクセスした閲覧者の情報をもとにHTMLを生成するので、ユーザーごとに提供する情報を出し分けたり変化させたりすることができます。
アクセスするたびにHTMLを生成するので、リアルタイムで刻々と変化していく情報をその都度反映させることができます。リアルタイムで頻繁に更新されていくコンテンツなどを提供する場合には動的CMSの仕組みが適しているでしょう。
ユーザー情報に対して情報やコンテンツを出し分けすることができるので、ユーザーごとにカスタマイズされたページを表示させることができます。オススメの商品を表示させたり、会員の種別によって閲覧できるコンテンツの範囲を変えたりすることも可能。静的CMSではこういったページの変化をつけることができません。
閲覧者がアクセスするたびにHTMLを生成してから表示するため、静的CMSと比べると相対的に表示が遅くなることがデメリットに挙げられます。動的CMSは表示が必ず遅く感じる、というものではありません。ただ、静的CMSと比較すると遅くはなります。
ページを生成するという処理が必ず発生するので、短期間に大量のアクセスがあった場合などに負荷が大きくなり、サーバが耐えきれなくなる可能性はあります。これに対応できるサーバを用意するために、コストが大きくなってしまう可能性があるのです。
HTMLページを生成するという処理をサーバが行っているため、ここで不正なアクセスや動作が発生する可能性があります。そのため、静的CMSに比べるとセキュリティは弱いということが言えるでしょう。
万が一トラブルがあった場合に、その原因が複数考えられるため特定とその復旧に時間がかかります。サーバが落ちてはいけないタイプのサイトには向かないと言ってもよいでしょう。
静的CMS | 動的CMS | |
情報配信 | 配信までタイムラグがある | リアルタイム |
---|---|---|
レスポンス | 速い | 遅い |
EC機能や会員サイト | 不可 | 可能 |
表示の出し分け | 不可 | 可能 |
セキュリティ | 堅牢 | 静的CMSに比べて弱い |
では、動的CMSにはどんなものがあるでしょうか。このサイトでご紹介しているものをいくつかピックアップします。
コンテンツ管理、コミュニティ機能、ソーシャルメディア連携機能、アクセスログ統計機能、会員管理システム連携
コンテンツ管理、マーケティング機能、クロスチャネルコンテンツ、顧客の興味関心の分析など
Adobe Experience Manager Sites
についてもっと詳しく
EC連携、コンテンツ管理、アクセス解析、メール配信、デジタルマーケティングなど
コンテンツを複数のデバイスに表示、会員管理、承認ワークフロー、ニュース一覧自動更新など
静的パッケージ型CMSについても、代表的なものをご紹介します。
サイト内検索、アクセスログ解析、多言語対応、WYSIWYGエディタ、ブロックエディタ、コンテンツの一元管理、ユーザ操作履歴の把握、ユーザ管理など
サイトの生成、ユーザ管理、テンプレート管理、公開承認管理、マルチデバイス配信、コンテンツ配信管理、操作履歴、外部リンクチェック機能など
WAF、脆弱性対応、データ暗号化、操作ログの取得とDL、鍵管理(暗号化の鍵管理を行えるかどうか)、
プログラムソースのバージョン管理対応のパッケージ型CMS(2022年3月調査時点)の中から、目的ごとのオススメCMSをご紹介します。
HeartCore CMS
引用元:HeartCore Webコンテンツ管理システム設定ガイド[PDF]
https://www.heartcore.co.jp/file.jsp?id=49551&version=ja
導入コストが安く、
DBから情報を自動更新したい
ECサイト・中規模サイト
分類 | 動的CMS |
---|---|
サイト 規模 |
数千~数万ページ程度 |
主な 機能 |
基幹システムとの連携、サイト内検索機能、マルチドメイン、多言語対応(170ヶ国)、SNS連携、ヘッドレス配信機能 |
導入先企業 | 日本航空、三菱UFJモルガン・スタンレー証券など |
Adobe Experience
Manager Sites
引用元:Adobe Experience Manager Sites公式HP
https://business.adobe.com/jp/products/experience-manager/sites/aem-sites.html
豊富なマーケティング機能を駆使して成果改善したい大規模サイト
分類 | 動的CMS |
---|---|
サイト 規模 |
数万ページ以上 |
主な 機能 |
コンテンツのパーソナライズ化、Adobe製品と連携、ヘッドレス配信機能、マルチサイト管理、翻訳 |
導入先企業 | mastercard、kaoなど |
NOREN
引用元:WDONLINE
https://book.mynavi.jp/wdonline/detail_summary/id=102645
更新頻度は少なめで、より強度なセキュリティを重視とする中規模サイト
分類 | 静的CMS |
---|---|
サイト 規模 |
数千~数万ページ程度 |
主な 機能 |
多段階承認フロー、多言語対応(日・英・中・韓)、タイマー自動公開、デザインテンプレート、共通部品 |
導入先企業 | 伊藤忠商事、神戸製鋼所など |
※1 動的CMSとは…閲覧者がアクセスするたびにHTMLを生成しユーザーごとに内容を出し分けたり変化させられるCMS
※2 静的CMSとは…閲覧者がアクセスするHTMLページを事前に準備しておくタイプのCMS
【選定条件】
HeartCore CMS…基幹システムとの連携ができ、サイト内検索がデフォルトで組み込まれているパッケージ型CMS
Adobe Experience Manager Sites…Adobe Creative Cloudとのネイティブ連携できる唯一のCMS
NOREN…パスワード変更の際、本人だけにパスワードを通知する機能があり、静的処理を行っているパッケージ型CMS